『わが殿』畠中恵(文藝春秋)
2019年11月27日発売
合戦が始まる。敵の名は、借金。
幕末期、ほとんどの藩が財政赤字に喘ぐ中、大野藩も例外ではなかった。
藩主・土井利忠は、様々な藩政改革を断行し、多額の借金を抱える藩財政を立て直そうとする。その執行役として白羽の矢が立てられたのが、若干八十石の内山家の長男である七郎右衛門良休。
四歳年下の殿の人柄と才覚に惚れきった七郎右衛門は、己の生涯を懸けて利忠と向き合い、時には反発しながらも、大野藩の再生に奔走する。
昨日までの当たり前は、とうに去っていたのだ。
新銅山の発掘、面扶持の断行、藩校の開設、類を見ない大型船の造船……。
七郎右衛門は、幾度も窮地に陥りながらも、利忠の期待に応え続ける。
だが、家柄もなく、殿の信頼を一身に集め、旧態依然とした大野藩の改革を続ける七郎右衛門には、見えざる敵の悪意が向けられていた。
そんな中、黒船の襲来により、日本中に激震が走る。
時代は移り変わろうとしていた――。
幕末最強バディ小説の誕生。
新時代を生き抜くヒントがここにある!