【電子書籍】「ななつの娘と夜の旅 月の巻」北野勇作(惑星と口笛ブックス)
2019年2月26日配信
【電子書籍】
ななつの娘と夜の旅 月の巻
北野勇作 惑星と口笛ブックス
『ななつの娘と夜の旅』は「月の巻」「水の巻」「石の巻」の3冊で構成される連作で、北野勇作の作家そしてイメージの開拓者としての野心を感じさせる作品となっている。
今回はまず月の巻で、収録は4作、「第一夜 天使が落ちている」は、ななつの娘が、天使が落ちていると言うので、つれだって見に行く。しかし、その〈天使〉の想像を超える異貌、奇怪さ。
「第二夜 影を渡って」は、月光が作る物の影を渡っていく娘の後を追ううちに起こる奇妙な変容を描く。
「第三夜 ロボットが行方不明」は、娘の作ったダンボールのロボットが行方不明になったので探しに行く話で、結末に現れるロボットの描写 は、不可思議かつ繊細で魅力的である。
「第四夜 空き地に月が」で、父と娘は思わぬところに月を見出す。稲垣足穂を北野勇作的にアップデートした印象の佳篇。
不可知で不穏で、夜しかない世界へようこそ。帰れなくなっても残念ながら責任はとれません。