『海神の島』池上永一(中央公論新社)
『25の短編小説』小説トリッパー編集部(朝日文庫)
2020年9月7日発売
『20の短編小説』に続く、最強の文庫アンソロジー第2弾!
ジャンルに収まらない現代小説からエンターテインメントの最前線まで、様々な手法でヴァラエティ豊かに「今」という時代を鮮やかに切りとった、25人の書き手による豪華競作の文庫オリジナル。
収録作品
- Аноун 阿部和重
- 新元号二年、四月 磯崎憲一郎
- あんなカレーに… 小川哲
- サクラ 尾崎世界観
- 悪い春202X 恩田陸
- ポケットのなか 角田光代
- 今日この頃です 片岡義男
- #コロナウ 金原ひとみ
- 泣くのにいちばんいい時間 川上弘美
- 洞ばなし 河崎秋子
- おとぎ輪廻 木下昌輝
- しおかぜ 櫻木みわ
- 通話時間4時間49分3秒 島本理生
- 終電過ぎのシンデレラ 新庄耕
- 旅の熱 高山羽根子
- 非美人 月村了衛
- 水曜日の山 津村記久子
- それからの家族 早見和真
- イッツ・プリティ・ニューヨーク 東山彰良
- なにも持っていない右腕 藤野可織
- ディア・プルーデンス 星野智幸
- 四半世紀ノスタルジー 町屋良平
- 家族写真 松井玲奈
- 魚の記憶 三浦しをん
- 太陽 森絵都
『心淋し川』西條奈加(集英社)
2020年9月4日発売
「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張方をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。
裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女がよく口にしていた、珍しい唄だった。唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったが――(「はじめましょ」)ほか全六話。
生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。
『海の怪』鈴木光司(集英社)
2020年9月4日発売
<リング>シリーズは、「貞子」の名とともに、世界中に日本ホラーの底深さを知らしめた。
「心地よい恐怖に浸るうちに怪異な闇に呑み込まれてゆく極上のミステリーに酔い痴れました」と稲川淳二氏が絶賛する18話は、25年に及ぶ自身の航海経験を中心に、海の仲間や知人友人から聞いたもの。
海の底知れぬ魅力と、海をめぐる無限の恐怖が入り混じる。