【電子書籍】『仮想の騎士』斉藤直子(惑星と口笛ブックス)
2018年10月18日配信
【電子書籍】
第12回「日本ファンタジーノベル大賞」優秀賞
仮想の騎士
斉藤直子 惑星と口笛ブックス
第12回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作品。
書き下ろしの前日談「サンメダール教会の奇跡」併録。
斉藤直子の作品は少ない。本書以外には、2009年から刊行された河出文庫の大森望編のSFアンソロジーシリーズ〈NOVA〉などに発表した短篇数篇を数えるのみである。
しかしそれだけで掛けがえのない作家という評価が定着しているように見える。
たしかに斉藤直子は掛けがえのない作家なのである。何しろ日本でも世界でも数少ないユーモアSF、ユーモアファンタジーを書くことのできる作家なのだから。
日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞の本作は、十八世紀半ばのパリやヴェネツィアを舞台に、女装の騎士デオンが活躍する歴史ファンタジーあるいは錬金術ファンタジーで、おそらく類書のない小説である。
登場するのは関西弁を話すカザノバ、最愛王ルイ十五世とその愛人ポンパドゥール夫人、不死と噂されるサン・ジェルマン伯爵、催眠術の創始者フランツ・アントン・メスメルなど。豪奢で絢爛として、幻想文学の核に根ざし、かつユーモア小説でもあるという稀有の作品である。
「サンメダール教会の奇跡」は最愛王ルイ十五世とのちのコンティ親王の少年時代の一逸話である。こちらは、シリアスな作品で、ルイ十五世の怪物めいた性格が重厚に活写 され、この作家の筆力が並々ならないものであることを証している。
400字詰め原稿用紙換算約310枚。「サンメダール教会の奇跡」は約50枚。 大森望の紹介つき。〈ブックス・ファンタスティック〉シリーズ第3作。
9月の刊行は決定しているのが、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作斉藤直子『仮想の騎士』です。おそらく日本最高の長篇ユーモアファンタジーです。では短篇では何がそれか。たぶん斉藤直子の短篇のどれかです。
— 惑星と口笛ブックス (@p_a_w_books) August 30, 2018