【電子書籍】「コドモクロニクル Ⅰ」(惑星と口笛ブックス)
2020年3月13日配信
【電子書籍】
ナショナル・エッセイ・プロジェクト 1
コドモクロニクル Ⅰ
惑星と口笛ブックス
当たりまえのことですが、最初から大人として生まれてきた者はいません。
ではわれわれはいつ子供でなくなったのでしょう。いつ大人になったのでしょうか。大人になった者はいったいどこにいるのでしょう。
ワーズワースはかつて詩のなかで、子供はその人間の親だという意味のことを述べました。子供のころの経験、それはたしかに人の方向を決め、あるときは助け、あるときは挫きます。
本書に集められた歓び、驚異、孤独、不安、恐怖は、多くの人間が共有するものです。けれども不思議なことにそこにはなぜか明確な個人性もあります。見事に普遍なものと独自なものが共存しているように見えます。
おそらくここに集められた優れた文章は読者の心に鮮やかに子供時代を蘇らせます。濃密なノスタルジーを見ることもできますが、それはある種の錯覚でしょう。われわれはおそらく子供時代を失ってはいません。違います。子供時代はつねに心の奥のほうでそのままつづいています。われわれはみな大きな子供なのです。
本書は〈ナショナル・エッセイ・プロジェクト〉の一冊目です。叢書名はポール・オースターの出版企画「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」から直接的に借用したものです。
400字詰め原稿用紙換算約240枚。